香港のIFAが取り扱う積立投資商品の代表的なものは、インベスターズトラスト社とRL360°社の2社があります。
▼インベスターズトラスト社(Investors Trust)HP
▼RL360°社(旧社名:ロイヤルロンドン)HP
両方の商品を取り扱っているIFAは、あまり聞いたことがありません。大抵、どちらか一方のみを紹介しています。各IFAが魅力的だと思う要素が違うのと、ファンドマネージャーの運用方法等、様々な判断材料によって、どちらの商品を紹介するのか決めているのだと思います。
そのせいか、オフショア積立投資や香港の保険を紹介しているブログでは、『インベスターズトラストを紹介する紹介者は信じちゃダメ!』とか、『ロイヤルロンドン(RL360°)は手数料が高いからよくない。』等、どちらかを悪く書いているブログが多いです。
おそらく、自分が紹介料をもらっているIFAが取り扱っていない方の商品を悪く言っていてるのでしょう。
どちらがいい、悪いということはありません。インベスターズトラスト社もRL360°社もどちらもちゃんとした会社です。オフショア積立投資に興味がある人は、両方の会社の話をIFAから直接聞いて、自分に合った商品を、誰から(IFA)、どのように契約(積立年数や積立金額)するかを決めたらよいと思います。
今回はまず、インベスターズトラスト(Investors Trust)は信頼できる会社なのか?Evolution(エボリューション)とはどういう商品なのか?等を徹底的に見ていきたいと思います。
目次
インベスターズトラスト(Investors Trust)社の会社概要
設立 | 2002年 |
本社 | ケイマン諸島 |
拠点 | 世界100ヶ国以上 |
証券の発行 |
|
格付け | AMベスト A- |
顧客数 | 70,000人以上 |
預かり資産 | 27億米ドル |
その他 | 契約証券、レポート、オンライン会員ページ等日本語対応あり |
主な商品 |
|
インベスターズトラスト社は比較的新しい会社ですが、既に世界初且つ最大の保険業界を専門とする信用格付け機関AMベスト社からA-と非常に高い格付けを得ています。※日本の保険会社でA-を取得しているのは明治安田生命。
顧客の資産はアメリカで2番目(※wikipediaより2022年9月30日時点)に大きい銀行バンクオブアメリカで分割管理されているため、資産管理に透明性があり安心できます。
以前は日本人の契約証券もケイマン諸島で発行していましたが、年々ケイマン諸島の金融庁(CIMA)による規制変更が増えており、今後更に厳しくなる可能性を見越して、インベスターズトラスト社の判断により、日本人の契約証券発行はプエルトリコとなったようです。
プエルトリコは証券の発行のみをしており、顧客の投資資金はプエルトリコに一切なく、ITA社の資産とは分離勘定で管理されているので、万が一プエルトリコが財政破綻しても
全く影響はありません。
インベスターズトラスト(Investors Trust)社の主要商品
インベスターズトラスト社には、積立型投資商品や一括払いの商品がありますが、いわゆるオフショア積立投資商品の『エボリューション(Evolution)』、インデックス連動型の『S&P インデックス 500』、定期預金のように毎年保証された金利が付く『確定利回りポートフォリオ』が人気です。今回はオフショア積立投資商品のエボリューションをご紹介します。
『エボリューション(Evolution)』の商品概要
エボリューションは積立型投資商品です。各IFAのファンドマネージャーが、インベスターズトラスト社のファンドからポートフォリオを組んで運用します。そのため、運用成績がよく、日本語で直接サポートが受けられるIFAから契約することがとても大切です。
商品名 | エボリューション(Evolution) |
積立年数 | 5年、10年、15年、20年、25年 |
契約可能年齢 | 積立年数 5年:18~80歳 積立年数 10年:18~75歳 積立年数 15年:18~70歳 積立年数 20年:18~65歳 積立年数 25年:18~60歳 |
初期口座期間 | 積立年数 5年:4ヶ月 積立年数 10年:13ヶ月 積立年数 15年:16ヶ月 積立年数 20年:20ヶ月 積立年数 25年:24ヶ月 |
プラン通貨 | 米ドル、英ポンド、ユーロ |
最低積立金額※米ドルの場合 | 積立年数 5年:200米ドル/月~ その他:100米ドル/月~ |
支払頻度 | 月払い、四半期払い、半年払い、年払い |
ファンド数 | 150以上 |
支払方法 |
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手数料※米ドルの場合 | 1.プラン手数料:毎月7米ドル 2.資産管理手数料:毎月ファンド残高の0.125% 3.年間管理手数料:累積投資予定拠出額に対して -1~10年目=1.9% -11年目以降=0.35% 4.信託報酬:1%※IFAによって異なる |
ボーナス | ・アロケーションボーナス 毎月積立金額 -150ドル以上の場合:積立金額の1% -300ドル以上の場合:積立金額の2% -450ドル以上の場合:積立金額の3% -600ドル以上の場合:積立金額の4% -1,125ドル以上の場合:積立金額の5% ・ロイヤルティボーナス (満期時に付与されるボーナス) ※積立停止、減額、取り崩しをした場合、それ以降のロイヤルティボーナスを受け取ることができない 10年目終了時:積立総額の7.5% 15年終了時:過去5年間の積立総額の5% 20年終了時:過去5年間の積立総額の5% 25年終了時:過去5年間の積立総額の5% |
一部取り崩し | 初期口座期間終了後、最低維持残高以上の残高があれば、一部取り崩し可能。 |
香港のオフショア積立投資商品の多くは、積み立てた金額が『初期口座』と『貯蓄口座』の2つに分けられます。
まず『初期口座』から、簡単にご説明します。
初期口座期間中は積立停止・減額・取崩しできません。この期間に解約すると解約返戻金もありません。
例えば積立年数25年・毎月500米ドルで契約した場合、初期口座は24ヶ月です。
積立開始から20ヶ月で、どうしても積立金が払えなくなり解約しなければならなくなったとしましょう。そうすると、20ヶ月×500米ドル(毎月積立金額)=合計積立金額10,000米ドルは、解約しても手元に戻ってきません。つまり、今まで積み立てた10,000米ドルを失ってしまいます。
そのため、無理のない金額・積立年数で契約することが非常に重要です。
次に『貯蓄口座』です。
初期口座期間が終わると、積立金額は貯蓄口座に積み立てられていきます。
プランを維持するためには、初期口座+1,200米ドルを維持しなければならないため、初期口座期間が終わっても、数ヶ月は必ず積み立てを継続する必要があります。
そもそもエボリューションはオフショア積立投資商品なので、
積立期間中は
『停止しない! 取崩ししない! 減額しない!』
ことが重要です。もし上記を守らなければ、元本割れし、損をする可能性が非常に高いです。
さて、上記インベスターズトラストの会社紹介、エボリューションの商品紹介と長くなりましたがいかがでしたでしょうか?
筆者がIFAで働いていたときに、何十人と取崩しや減額をしたり、途中で解約したりして損をしている人を見てきました。
投資は余裕資金でするものです。
個人的な意見として、余裕をもって毎月500米ドルを10年間払い続けられないのであれば、オフショア積立投資をしない方がいいと思っています。必ず500米ドル以上と言っているのではなく、それくらい資金に余裕がなければ、取崩しや減額、解約してしまう可能性が高いからです。
日本にもつみたてNISAやiDeCoなど少額×短期間で始められるものもありますし、香港でもHSBC等の金融機関で、期間に縛りがないインデックス投資等があります。
投資で一番大切なのは、資産を増やす事なので無理のない範囲で始めましょう。
また積立投資型商品の場合、多くの場合運用するのはIFAです。そのため、IFAの運用成績はとても重要です。
『運用成績がよくカスタマーサポートがあるIFAを選ぶ!』
これも大事なポイントですね。運用成績に関しては、年利平均10%を超えていればとてもよい運用成績と言えます。もし年利平均5%以下であれば他のIFAを探した方がいいでしょう。
色々なブログで、「運用成績が圧倒的によい○○(IFA)」「○○(IFA)は絶対に選んではダメ!」と紹介しているのを見かけませんか?
上記のような紹介をしているブログは、多くの場合、良く紹介しているIFAとつながっています。本当に成績がいいのかもしれませんが、ブログに問い合わせるのではなく、IFAに直接問い合わせをして、過去の運用成績を聞くようにしましょう。IFAのカスタマーサポートの対応がしっかりしているかも、ついでに確認できますしね。
自分の紹介料だけ考えている紹介者は、よく下記のような謳い文句を言います。
・初期口座だけ積み立てたら、あとは置いておくだけ。
・将来、減額か取崩しすればいいから多めに積み立てた方がいい。
そのような紹介者ではなく、IFAに直接問い合わせをして、信頼できるパートナーを見つけましょうね。
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