ここ数年、香港の各保険会社からは毎年のように貯蓄型保険が発売されています。
解約返戻金に保証部分と変動部分があり、契約経過年数とともに増えていくという点では同じですが、保証部分と変動部分の解約返戻金の増え方のバランスが違ったり、後発の商品には、新しい機能がついていたりします。
また、保険会社も新商品のセールスを伸ばしたいので、発売時期にキャンペーンを行うことも多いですね。
しかしながら、新商品が必ずしも自分に最適な商品とは限りません。
20年後を目標に解約返戻金を増やしたいのか、それとも子供に契約を引き継ぎながら永遠にプランを継続したいのか等、ご予算や目的、目標によって最適な商品は異なります。
最近では、サンライフ社の貯蓄型保険の場合、今年発売されたサンジョイ(Sun Joy)やサンギフト(Sun Gift)が人気がありますが、2020年に発売されたビクトリー(Victory)も人気のある商品です。
【目次】
サンライフ香港:ビクトリー(Victory)の商品概要
商品名 | ビクトリー(Victory) |
支払期間 | 5年、10年、5年分一括払い(全期前納) |
契約時被保険者の年齢制限(支払期間別) | 5年分一括払い:0~80歳まで 5年:0~70歳まで 10年:0~65歳まで |
契約期間 | 被保険者が120歳になるまで ※2名いる場合は若い方の被保険者が120歳になるまで |
プラン通貨 | 米ドル |
支払頻度 | 月払い、半年払い、年払い、一括払い(全期前納) |
支払期間と最低年間保険料 | 最低年間保険料3,000米ドル ※一括払い(全期前納)の場合、15,000米ドル |
支払方法 |
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その他 |
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ビクトリー(Victory)の運用事例
Cさんは自身の老後資金を準備するためにビクトリーを契約しました。
下記の契約は、年間保険料15,000米ドルを年払いで5年間払う契約です。
契約者 | 35歳 男性 非喫煙 |
被保険者 | 契約者と同じ |
プラン通貨 | 米ドル |
払込期間 | 5年 |
保険料 | 15,000米ドル/年 |
それでは解約返戻金を見てみましょう。
Cさんは75歳でプランを解約し、老後資金に充てることにしました。
Cさんが75歳時点の解約返戻金は以下です。
◆Cさんが75歳の時の解約返戻金
保証された解約返戻金:109,500米ドル(払込保険料の146%)
保証された解約返戻金+変動する解約返戻金:707,275米ドル(払込保険料の943%)
※受け取り時の税金に関しては受け取る国の税制に従う必要があります。
保証された解約返戻金というのは、保険会社サンライフ社によって保証されている解約返戻金です。解約する場合、必ずもらえる解約返戻金です。一方、変動する解約返戻金はサンライフ社の業績等により上下に変動する解約返戻金です。
また、例えばCさんは自分の老後資金は貯金と年金でまかなえたので、85歳の時に孫D君20歳にプランを継承したとしましょう。そしてDさんは自分の老後資金のために55歳でプランを解約したとします。
つまりはこんなシチュエーションです。
Dさんが55歳の時は契約開始から90年が経過しているので、上のシミュレーションの"At age 120"の解約返戻金になります。
◆Dさんが55歳の時の解約返戻金
保証された解約返戻金:186,427米ドル(払込保険料の249%)
保証された解約返戻金+変動する解約返戻金:14,788,913米ドル(払込保険料の19,719%)
※受け取り時の税金に関しては受け取る国の税制に従う必要があります。
Cさんは愛する孫のために、一切お金に手を付けずに孫に引き継ぐこともあるでしょうが、もちろん自分でいくらかお金を引き出しながら、残りを引き継ぐということもできます。
IFAに依頼すれば、いくらか引き出しながら運用する場合の設計書も無料で作成してもらえるので、興味のある方は一度相談してみるといいでしょう。
ビクトリー(Victory)/サンジョイ(Sun Joy)/リージェントプライム(Regent Prime)の比較
ここ最近メジャーな香港の貯蓄型保険と言えば、サンライフ社のサンジョイとFTライフ社のリージェントプライムですので、この2商品とビクトリーの大きく異なる点を簡単にまとました。
| ビクトリー (Victory) | サンジョイ (Sun Joy) | リージェントプライム (Regent Prime) |
支払期間 | 5年、10年 5年分一括(全期前納) | 2年、5年 2年分一括(全期前納) | 2年、5年 2年分一括(全期前納) |
最低保険料 | 5年払い: 3,000米ドル/年 10年払い: 3,000米ドル/年 5年分一括(全期前納): 20,000米ドル | 2年払い: 15,000米ドル/年 5年払い: 3,000米ドル/年 2年分一括(全期前納): 30,000米ドル | 2年払い: 4,500米ドル/年 5年払い: 3,000米ドル/年 2年分一括(全期前納): 9,000米ドル |
被保険者 | 最大2名まで | 1名 | 1名 |
契約期間 | 被保険者が120歳になるまで ※2名いる場合は若い方の被保険者が120歳になるまで | 被保険者が120歳になるまで | 被保険者が128歳になるまで |
証券分割 | × | 〇 | × |
その他 | | 被保険者が亡くなった場合の死亡保険金の受取りオプションが多数 | |
予算の都合がある場合、FTライフ社のリージェントプライムが一番始めやすいでしょう。
中には、会社の歴史が長い方が安心という方もいるかもしれません。その場合は、サンライフ社の商品がよいでしょう。
では、それぞれ同じ条件で加入した場合の解約返戻金について比較したいと思います。
|5年払い 年間保険料3,000米ドルの解約返戻金
まずは保証された解約返戻金の比較です。
変動する解約返戻金だけではなく、保証された解約返戻金も増えて欲しいという方はビクトリーがよいでしょう。
ビクトリー | 返戻率 | サンジョイ | 返戻率 | リージェントプライム | 返戻率 | |
5年 | 6,170 | 41% | 450 | 3% | 2,841 | 19% |
10年 | 9,486 | 63% | 10,500 | 70% | 7,610 | 51% |
15年 | 12,000 | 80% | 15,060 | 100% | 14,504 | 97% |
20年 | 15,105 | 101% | 15,210 | 101% | 14,604 | 97% |
25年 | 15,900 | 106% | 15,360 | 102% | 14,703 | 98% |
30年 | 17,491 | 117% | 15,510 | 103% | 14,981 | 100% |
35年 | 19,500 | 130% | 16,028 | 107% | 15,081 | 101% |
40年 | 21,900 | 146% | 16,545 | 110% | 15,498 | 103% |
45年 | 23,189 | 155% | 17,145 | 114% | 15,597 | 104% |
※支払い保険料や支払期間によって、異なります。
※上記の表は各保険会社の設計書を1つの表にまとめたものです。
次に保証された解約返戻金+変動する解約返戻金の合計を見てみましょう。
| ビクトリー | 返戻率 | サンジョイ | 返戻率 | リージェントプライム | 返戻率 |
5年 | 6,200 | 41% | 4,526 | 30% | 4,261 | 28% |
10年 | 17,957 | 120% | 18,832 | 126% | 17,061 | 114% |
15年 | 26,156 | 174% | 25,039 | 167% | 26,252 | 175% |
20年 | 36,893 | 250% | 39,319 | 262% | 35,263 | 235% |
25年 | 51,241 | 342% | 52,737 | 352% | 46,865 | 312% |
30年 | 71,781 | 479% | 79,768 | 532% | 72,346 | 482% |
35年 | 98,814 | 659% | 97,955 | 653% | 92,414 | 616% |
40年 | 141,455 | 943% | 148,188 | 988% | 137,468 | 917% |
45年 | 195,764 | 1305% | 205,872 | 1373% | 179,511 | 1197% |
※支払い保険料や支払期間によって、異なります。
※上記の表は各保険会社の設計書を1つの表にまとめたものです。
※変動する解約返戻金を含むため上記の数値は上下に変動する可能性があります。
全体的に見ると、サンライフ社のサンジョイが一番増え方が早いですね。
ここで気になるのは、『”変動する解約返戻金”が実際にどれだけもらえるか』ではないでしょうか?
香港の保険会社は香港保険業監管局により、『契約者が署名した設計書の”変動する解約返戻金”を何%達成できたか=フルフィルメントレシオ(達成率)』を公表する義務があります。
サンジョイやビジョンは、まだ発売されて間もないため、過去の達成率が出ていません。
▼サンライフ社フルフィルメントレシオ(達成率)
▼FTライフ社フルフィルメントレシオ(達成率)
FTライフ社リージェントプライムの過去の達成率は、まだ1年分しか公表されていませんが、達成率100%(2023年8月時点)ですね。一方、サンライフ社の他の商品の過去の達成率を見ると、達成率100%とまではいかないかも。。という気もします。
ただしサンライフ社は、FTライフ社のリージェントプライムのような、保証された解約返戻金があまり増えない貯蓄型保険を発売するのはサンジョイが初めてなので、サンジョイの変動する解約返戻金の達成率は他の商品よりもよくなるのでは、、とも考えられます。
しかしながら、将来のことは誰にもわからないですね。
ざっくりとまとめると以下でしょう。
◆FTライフ社リージェントプラムが向いている方
・予算的な都合がある方
・保証された解約返戻金よりも全体的な解約返戻金の増え方を重視したい方
・変動する解約返戻金の達成率が良さそうなものがよい方
◆サンライフ社サンジョイが向いている方
・会社の歴史が長い方がよい方
・保証された解約返戻金よりも全体的な解約返戻金の増え方を重視したい方
・将来証券を分割するかもしれない方
◆サンライフ社のビクトリーが向いている方
・会社の歴史が長い方がよい方
・保証された解約返戻金と変動する解約返戻金の増え方のバランスを重視したい方
まとめ
5年払い年間保険料3,000米ドルの場合は上記のようなシミュレーションになりましたが、別の支払期間や引き出しをしながらプランを継続する場合、その時のキャンペーンの状況によって、異なるシミュレーションになりますので、気になる方はIFAに問い合わせをしてみるのがよいでしょう。
また香港の貯蓄型保険は、サンライフ社やFTライフ社だけでなく、その他にも保険会社もあるので気になる方はIFAに相談してみてくださいね。
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